4.北の港は異国の匂い

2002年7月22日(月)

キャンプの朝は早い。回りがすぐ明るくなるからね。
さわやかな気持ちで5時頃起床。

北海道17
北海道18

私は、なのの衣類をコインランドリーで洗濯。
(お迎え即直行だったので、ここまで保育園での汚れ物をもってきてたのだ)
キャンプ場のスタッフの人たちと、なのを囲んでほのぼのした会話を交わす。
「ゆっくりしていってね」と言われたが、そうも出来ないのが辛い。
なんせ、今日は一気に北へ向かうのだ。

キャンプ場を後にし、再び日本海に沿って北上を始める。
昨日に引き続き、左は荒ぶる日本海。右手は、茫漠とした荒野が広がる。
道はひたすらまっすぐで、信号はない。
高速といってもおかしくない道。ただ、他の車がほとんどいないのが違う点で。
とにかく広い。空が大きい。
北海道の大地を駆け抜けるのが、こんなに爽快だということを、私も旦那も知った。

北海道10

走っているうち、雨がだんだん強くなる。気温が上がらない。
それどころか、北に向かうほど下がっている感じ。
しかも、海から吹き付ける風がものすごい。
世界が鈍い灰色で染まる。夏とはまったく思えない。
車の中だから快適だけど、こんな天気の中、
ひたすら長いこの道をとぼとぼ歩くのは、苦行以外のなにものでもないだろうなあ。
しばし、先人の苦労に思いをはせる。

雨に曇る荒野の中、前方になにやら奇妙な建造物が見えてきた。
白くて細くてつるつるしている。万博公にある、岡本太郎の「太陽の塔」みたいだ。

「あれ、なに?」
「・・・あ・・・風車だ!」
「!!!!!」

たしかにそうだ。よく、アメリカとかのテレビでうつってる奴。
あの風車が、十何基も横一列に並んで、ゆっくり回っているのだ。

むっちゃかっこいい!!!!!

まるで、宮崎駿夫の「ラピュタ」に出てくる機械兵みたいだよー!
すっごい幻想的な光景だよー!!!

ひたすら広がる大平原の中、海に向かって一列に並び、ゆっくりと回る巨大風車の群。
それは、イースター島のモアイをも思わせ、私が、この旅行中、もっとも忘れがたい光景となりました。

さて、本日は、稚内の南20キロ、
兜沼自然公園にあるキャンプ場に宿をとりたいな、と漠然と思っていたので。
どこかで今夜の食料を買い込みたい。が、付近に町はなし。
いっそのこと、一度稚内まで出ようと言うことになった。

最北の都市・稚内。
町にはいると、スーパーなど見慣れた風景。あまり高い建物がないのだけが、都会と違うか。
大型ショッピングセンターへ入り、ゴンをお留守番させてお買い物。
ついでにお昼も食べようという魂胆。

ファミリーレストランの窓際の席に着き、車中のゴンを観察しつつ、お昼をいただく。
私たちが車を離れるときは暴れたゴン。けど、見ると、車の中でおとなしくしている模様。よしよし。
窓から見える時計台の下の電光掲示板には、しっかり「13度」の文字。どーりで寒いわけだ。

回りを見回せば、客の1/4が異人さんである。ロシアの人らしい。
どーも、港の船から、タクシーでこのスーパーへ乗り付けているようだ。なるほどねえ。
旦那はラーメンとカレー、私はオムライスをいただきました。
(ラーメンはあまり美味しくなかったらしい。
 が、ファミレスでラーメンを頼むというのが、最初からいかがなものかと思うが)

寒いし、雨が降っているので、炭火を使う料理はやめて、
コンロで出来る海鮮汁に、飯ごうで炊いたご飯にウニやイクラをのっけた丼にメニューは決定。
意気揚々と買い物に向かい、魚コーナーで毛ガニを発見する。
ここで、なのの威力炸裂。
「可愛いわあ~」とめろめろになった売場のお姉さんが、
一匹分の値段で、2匹売ってくれたのだ。
でかした!なの!!

ところが、旦那待望のウニ&イクラは見あたらない。
さっきのお姉さんに話を聞くと、
どうも、すべておみやげや飲食店用に回ってしまい、こういうスーパーでは売っていないらしい。
仕方なく、おみやげ用の海産物の店を教えてもらう。

教えてもらったお店は、稚内の港の一角にあった。
港に停泊しているたくさんの船。舞い踊る無数のかもめ。ロシア語で書かれた看板。
く~、これですよこれ。異国情緒たっぷりじゃあーりませんか。
しかも、お店の駐車場からは、JRの線路が最北で途切れる地点が見渡せた。
ここにて北の果て、終点、って奴ですな。
なんか、ほんとに北の果てに来ちゃったなあ。ここから先は異国なんだなあ。
低く陰鬱にたれ込める雲。暗い海。やっぱ北の港はこうでなくっちゃ。

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ウニとイクラを買い(けっして安くはない。やはりおみやげ価格)
おみやげ用に親戚にカニを発送した後、兜沼方面に引き返した。

兜沼キャンプ場は、アウトドア系のキャンプ場情報では、常にトップランクの人気を誇っているところである。
だから、ぜひ泊まってみたかったのだが、実は犬OKのキャンプ場ではない。
けれど、ネットでうろうろしていた際、
「犬をつれていきました、しかもとても感じがよかった」という話を見たので、
ダメ元で電話をしてみた。
すると「ホントはダメなんですが、きちんと事故責任で管理できるなら構いませんよ」とのこと。やった!!

兜沼キャンプ場は、テントサイトは林の中、オートキャンプ場は兜沼が一望できる見晴らしのよい広場。
どちらにしても、とても雰囲気のいいところです。
アスレチックなど子供用の遊具もたくさんあり、家族連れにも向いてるし、
林の中の静かなところは個人キャンパーにも適している。
また、「やすらぎの湯」という温泉が併設されているのもポイント高し!
欠点は、生ゴミ以外はお持ち帰りなところ。
(しかも、この生ゴミも300円で専用の処理袋を買わなくてはならない)

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犬連れだからと、なるべく端の方をお願いしたのだが、
「他に人もいないから、もっと便利なところでいいですよ」と親切に対応してもらえた。
ありがとうございます。
実際、オートキャンプ場は、私たちの他には一組しかいなかった。
(テントサイトには何組かいたようで、中に、犬連れもいたみたい。吠える声が聞こえたから)

雨がとぎれがちになったので、ラッキー!とテントを建てることに。
ところが、風がめちゃめちゃすごかった!! まじ、夜中吹き飛ばされるのではないかと心配したくらい。
「テントもたないかも」と、旦那の顔も、結構真剣だった。
そそくさと用意をし、テントの中で煮炊きする。
ウニいくら丼は、甘くとろけて、天上の美味だった。
ゴンはテントに慣れたらしくおとなしいもの。
なのも本日はたいそうご機嫌でした。

気温の低下、風を心配しつつ、就寝。

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